2020.07.22
ブラック企業の特徴とは?退職するときのポイントや注意点などをご紹介
仕事内容や企業理念に魅力を感じ、入社試験を受けて内定をもらった会社や、すごくやりたかった仕事で、憧れていた会社でも、いざ就業してみたら、ひどい労働環境に心身ともに疲れてしまう…という場合があります。これはもしかして「ブラック企業では…?」と頭では考えつつも、好きな仕事だし、憧れていた業界だし…と、今も頑張って働いている方もいるのではないでしょうか。悩み苦しんで、自分のことを追い詰めてしまう前に、退職をするというのも一つの手です。今回は、なるべく穏便にブラック企業から退職をする方法と、その際の注意点などをお伝えいたします。いま一度、所属している会社の労働環境の状態をよく確認し冷静にチェックしてみましょう。
社会的に働き方を見直す流れがきている?
近年、「働き方改革」を中心に、「ノー残業デー」や「テレワーク」や「パラレルキャリア」など、社会全体で、労働環境を見直す動きが起こりはじめています。
それでもなお、サービス残業による長時間労働や、パワハラ・セクハラなどによる事件や過労死などの労働に関するトラブルやニュースは後を絶ちません。どんなに劣悪な労働環境で働いていても、みんながみんな声をあげられるとは限らない、というのも現状です。「今働いている会社って、もしかしたらブラック企業なのでは…?」と気付いても、心身ともに弱ってしまうとなかなか動き出すことが出来ず、悪循環に陥ってしまう場合もあります。
そんな中、2017年の5月より厚生労働省は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」というリストを1年ごとに公開するようになりました。こちらは主に「労働安全衛生法違反」の事案が多いですが、こうして企業名や内容を公にすることにより、ますますひとりひとりが声を上げやすい環境になっていくのではないでしょうか。
労働基準関係法令違反に係る公表事案|厚生労働省
(令和元年6月1日~令和2年5月29日公表分)
働いていると気付きにくい!?「ブラック企業」とは?
そもそも「ブラック企業」とは、どのような企業のことを指すのでしょうか。具体的な定義はしていませんが、厚生労働省のHPでは、下記のような回答がありました。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html
つまり、
- 長時間労働や休日出勤サービス残業がある
- 有給休暇が自由にとれない
- 過剰なノルマを課せられる
- 残業代や手当、給与等の不払いなどがある
- パワハラやセクハラなどのハラスメント行為が常態化している
- 採用と離職をすごいスピードで繰り返している
などが「ブラック企業」と考えられる会社の特徴といって良いでしょう。こちらはあくまでも主な特徴なので、他にも様々な特徴や該当する理由はあります。「これは…?」と感じることがあったら、社外の友人や家族、労基署や労働組合に相談するようにしましょう。
退職を伝えるときに知っておきたいこと
ブラック企業でなくとも、会社を退職するときはなかなか話を切り出しにくいシチュエーションが多いのが現状でしょう。会社の就業規則や契約にもよりますが、大体は退職日の1ヵ月前、業務の引継ぎや分担、後任者の採用などもあるので退職日の2ヵ月前位には会社に伝えられるのがベターです。しかし、ブラック企業の場合や、劣悪な労働環境などの場合は一刻も早く「退職したい!」と考える人が多いでしょう。
労働者が退職をするのは基本的に自由となっており、会社の承認は必要ありません。通常の会社であれば、退職を申し出たあと、退職日に向けて後任者への引継ぎなどの準備を進めていくのですが、ブラック企業の場合、人員不足や繁忙期などを理由に、退職すら受け入れてくれない場合もあります。
しかし、民法第627条では
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」
と決められているので、会社の承認は必要ありません。
また、「退職」することができたとしても、未払いの給料や残業代、有給休暇が残っている場合もあります。直接自分で請求するパターンの他にも、退職代行サービスを利用する、必要に応じて労働基準監督署や弁護士等の専門家に相談するなどの方法がありますので、シチュエーションに応じて検討してみてはいかがでしょうか。
ブラック企業を穏便に退職するポイント
ブラック企業とはいえ、なるべく事を荒立てずに、穏便に退職へと進めていきたいですよね。上記でお伝えした「退職を受け入れてもらえない」こと以外にも、「理由をつけて引き止められる」「少しずつ退職を先延ばしにされる」「脅しや嫌がらせをされる」などの事態も考えられます。そのためにも、退職を申し出る際は、いくら仕事が大変でもネガティブな理由では伝えず、「やりたい仕事が見つかった」、「学びたいことがある」、「留学をする」、「家族の面倒を見ることになった」など、ポジティブな理由や引き止められない理由で、ハッキリと「退職します」と伝えるようにしましょう。
また、上司に退職の申し出をする際には、立ち話は避けましょう。忙しいことを理由にされたり、「今立て込んでいるから後にしてもらえる?」とはぐらかされてしまうこともあるからです。サラっと伝えるのではなく、上司のスケジュールを見て忙しくない時間を確認し、アポをとるようにしましょう。そしてどうしても「退職願」を受け入れてもらえない場合や、体調を崩して出社が難しくなってしまった場合などは、「退職届」を郵送し、退職の意思を伝えればOKです。
※「退職届」を郵送する際は、必ず届いたことが記録される内容証明で発送しましょう。
退職代行企業もチェックしてみては?
現在では、企業に「退職」の意向を伝えにくいという方に向けた「退職代行サービス」を行っている企業がいくつかあります。「退職代行サービス」とは文字の通り、本人に代わって退職の処理を進めてくれるサービスのことです。数年前からメディアでも取り上げられる機会が増えているので聞いたことはある方も多いと思います。
基本的に有料のサービスではありますが、第三者が介入することで、スムーズに退職が進むことも考えられます。退職代行サービスを利用しようと考えている方は、その会社のサービス内容や料金、実績や注意事項などをよく確認して選ぶようにしましょう。
就職する前にブラック企業かをチェック。
就職活動や転職活動の際に、ブラック企業であるかどうかをチェックできるポイントもいくつかあります。ブラック企業で仕事をしていると、感覚が麻痺してきてしまうこともありますが、世の中には本当にたくさんの企業や職場があります。ずっと憧れていて、ようやく就くことができた業種や職種でも、会社によって労働環境もさまざまです。一度立ち止まって、他の会社について調べてみると気が付くことがたくさんあるかもしれません。
ブラック企業かどうかを見るためのポイント
- みなし残業代、裁量労働制、固定残業代になっていないか
- 求人情報の内容がきちんと埋まっているか
- 離職率が低いか、きちんと公表されているか
- 常に求人がでている企業ではないか
- 仕事内容が明確であるかどうか
- 精神論などが書かれていないか など
まとめ
今回は、勤めている会社がブラック企業だったときの退職方法などを中心にお伝えしました。最近は、働き方や残業に対する意識の変化、やりがい搾取、パワハラ・セクハラなどのハラスメントなどが明るみになりつつあり、“労働環境”に対して社会全体で考える機会も増えてきていると思います。これを機に、業種や職種だけでなく、働き方自体を見直し、自分にあった働き方を見つけてみてはいかがでしょうか?