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【ワークライフバランス】仕事と私生活のバランスを取るためには?

【概要】
《この記事について》
皆さんは仕事に対して、どのような意識をお持ちですか?

本来、仕事は経済的にも、精神的にも健やかにできることが理想です。家庭や友人、そして自分自身の生活を豊かにするための仕事ですが、現実では私生活との両立は厳しいものです。
こうした中、近年、仕事と生活のバランスを見直す「ワークライフバランス」という言葉が話題になっています。今回はワークライフバランスについての基本的な知識や、企業や個人でできる取り組みの事例をご紹介します。

自分に合った働き方を探している方や、転職などを検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

【そもそもワークライフバランスとは】
《「ワークライフバランス」とはどういう意味?》

ワークライフバランスとは、日本語で「仕事と生活の調和」と訳されます。もっと簡単に説明すると、「仕事と私生活のバランス・比率」のことです。

ワークライフバランスの概念は、女性の社会進出が進んだ1980年代後半のアメリカで始まったと言われています。日本では、少子高齢化や男女の雇用機会の均等化などの動きが始まった1990年代に、仕事と私生活のアンバランスによって起こる課題を解決するべく、「ワークライフバランス」が叫ばれるようになりました。
内閣府が発表している「ワークライフバランス憲章」では、仕事と生活の調和が実現した社会を以下のように定義しています。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
少し難しい内容ではありますが、具体的には下記の3つの社会が目標とされています。(以下内閣府「『仕事と生活の調和』推進サイト」より引用)

(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

このような社会の実現が目標に挙げられた背景には、「内閣府の働き方改革の推進」「少子高齢化による人材不足」などがあります。少子高齢化になれば、労働者が不足し、ひとりひとりの労働力が多く求められますし、その分労働環境が悪化してしまうこともあります。

また、日本ではハラスメントや過労による自殺事件が起こって以来、企業内での風通しの改善や社会全体でも働き方に対する考え方が見直されはじめました。内閣府も「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」や「仕事と生活の調和推進のための行動指針」などを発表し、国民の働き方に対する定義づけをはじめました。

ワークライフバランス

《どんな種類があるのか、メリット》
◉個人でできることはある?
ワークライフバランスは企業や自治体だけの取り組みだと考えられがちですが、お互いに協力をすることで個人でも実現は十分に可能です。

ワークライフバランスの中に「ファミリーフレンドリー」という概念があります。これは「仕事と家庭の両立支援」を指します。
これは働きながら、育児や介護などの家庭を両立するために環境を整えることを意味しています。
ファミリーフレンドリーは企業と従業員が協力して行うものであり、厚生労働省や愛知県などの各自治体では、ファミリーフレンドリーを推進した企業に対して表彰なども行っています。

今後、こうした取り組みを行う企業が増え、従業員が家庭と仕事を両立できるような環境づくりがどのように進むのか、注目です。

◉新型コロナウイルスの影響は?
さて、私たちの働き方に大きな影響を与えた新型コロナウイルスですが、「ワークライフバランス」にはどのような変化を及ぼしたのでしょうか?
結論から言えば、場所や時間に固定されずに働くことができるようになりました。

・フレックスタイム制度
フレックスタイム制度は、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自分で決めることによって、仕事と私生活のバランスを取りつつ働くことができるワークスタイルです。

 新型コロナウイルスの発生より前の話ではありますが、2019年の4月にあった法改正では、労働時間の調整可能期間が延長されました。
従来は1ヶ月間で労働時間の調整を行い、欠勤分があれば減給、超過分は会社が給料を割増して負担をする必要がありました。しかし、法改正後は2〜3ヶ月分での調整が可能となり、長期間でのより柔軟な働き方の選択が可能となりました。

フレックスタイム制度を利活用できれば、満員電車での通勤を回避できたり、自分の家庭環境に応じた働き方を選択できるので、会社選びの際の参考にするのも良いかもしれません。

・テレワーク
テレワークは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を指します。
テレワークには以下の3つの種類があり、それぞれに特徴があります。

⑴在宅勤務
自宅を就業場所とし、指定した(された)時間に勤務をする働き方
⑵モバイルワーク
特定の施設に依存せず、いつでも、どこでも就業が可能な働き方
⑶施設利用型勤務
サテライトオフィスなどの、企業が設けるスポットオフィス等を就業場所とする働き方

もちろん、場所や時間に関係なく仕事をすることができるので、自由な働き方の推進という観点では、メリットはたくさんあります。
しかし、自分自身でタスクやモチベーションの管理を行うので、場所によっては集中できなかったり、他人の目がないことによってマネジメントが難しいというデメリットもあります。

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを推進する企業が増えてきてはいますが、求職者はこうした良い面と悪い面を考えて、企業選びをする必要があります。

【企業・行政の導入事例】
《実際に企業はどのような取り組みをしている?》

テレワーク・在宅勤務

今回、企業がワークライフバランスの推進を目標として行う取り組みをいくつかご紹介しました。
上記以外にも、育休や有給休暇制度の導入など、企業は様々な取り組みを行っています。

化粧品業界で国内トップの売り上げを誇る「株式会社資生堂」は、「心身ともに健康な社員が自分磨きの時間を満喫しイノベーションを巻き起こす会社になる」ことを目標に、勤務形態の充実や長時間労働の解消に取り組んでいます。

資生堂は2011年から労働環境の改善をテーマにKPIを設計し、「時間外労働の削減」、「年次有給休暇の取得率向上」、「総実労働時間の削減」の3つを目標にガイドラインを作成しています。
その中で、オフィスを20時〜22時に消灯するよう設定し、勤務時間の長期化を防ぐ取り組みをしたり、2017年から一部の関係会社を含むグループ会社で実施していた在宅勤務をテレワーク制度へ発展させています。
また、サテライトオフィスの活用促進など、育児・介護期の社員に関わらず、働き方見直しの施策として各職場で活用しています。

☆資生堂|働きがいのある職場の実現

https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/labor/working.html

☆資生堂におけるCSRとワークライフバランス

http://www.win-cls.sakura.ne.jp/pdf/6/07.pdf

【まとめ】
今回は仕事と私生活の両立、「ワークライフバランス」についてご紹介しました。
政府の働き方改革の動きに加えて、新型コロナウイルスの影響もあり、今後働き方の変革は加速していくものと考えられます。

現在企業にお勤めの方は、世間の情勢だけでなく、自分の家庭環境などに合わせた働き方を模索する必要があるかもしれません。
また、転職を検討されている方や求職者の方は、従来の企業選びの軸に「自分にあった働き方を実現できるか」という条件も加えてみてはいかがでしょうか。