＜はじめに＞
普段わたしたちは何気なくコンビニで食べ物を買ったり、通販サイトで買い物をしています。消費者でいるうちは気がつきにくいことかもしれませんが、例えばおにぎりひとつにしても、商品の開発や原材料の調達、生産、在庫管理、流通などの工程を経た後に消費者の元に商品が届いています。このように、商品(製品)が生産者から消費者に届くまでの一連の流れのことを、サプライチェーンといいます。
今回は、私たちの生活に欠かすことのできない「サプライチェーン」についてご紹介したいと思います。

＜サプライチェーンとは＞
そもそもサプライチェーンとは何なのでしょうか。
サプライチェーンとは、商品の企画・開発から、原材料や部品などの調達、生産、在庫管理、配送、販売、消費までのプロセス全体を指し、商品が最終消費者に届くまでの「供給の連鎖」のことです。
サプライチェーンの概念で特徴的な点として、自社だけでなく、他社をまたいでモノの流れを捉えることが挙げられます。たとえば自社がメーカーである場合、部品メーカーや材料メーカーなどから製品の製造に利用する部品および原材料を仕入れて製造します。また販売においては、配送業者や卸業者、そして小売業者が関係するでしょう。このように、サプライチェーンでは自社の業務だけでなく、モノが製造されて販売されるまでのフロー全体を捉えます。

＜サプライチェーンマネジメント(SCM)＞
こうしたサプライチェーンとともに注目されているのが、サプライチェーンマネジメント(SCM)です。
サプライチェーンマネジメントとは、こうしたモノの流れ、お金の流れを情報の流れと結びつけ、サプライチェーン全体で情報を共有、連携し、全体最適化を図る経営手法のことです。この際、サプライチェーン全体のバランスを見て連携管理することが重要になります。
つまり、サプライヤー、メーカー、物流、小売の関係性をひとつひとつを最適化するのではなく、サプライチェーン全体を統括して最適化を図るのがサプライチェーンマネジメントです。
なかでも重要とされているのが需要予測です。これが適切にできていないと、在庫管理が適正化されず経営を圧迫してしまいます。そこで、サプライチェーン全体で需要予測に関する情報共有を行うことで、過剰在庫を防ぐことができます。必要なモノを、必要なときに、必要なだけ供給する「ジャスト・イン・タイム」がサプライチェーンマネジメントの基本といってもいいでしょう。

＜サプライチェーンリスク＞
様々な企業が鎖状につながっているがゆえに、サプライチェーンには様々なリスクが潜んでいます。
代表的なリスクとしては自然災害やパンデミックなどの環境的リスク、テロや政治的な不安などの地政学的リスク、経済危機や原料の価格変動といった経済的リスク、サイバー攻撃やシステム障害などの技術的リスクなどが挙げられます。

〇新型コロナウイルスが与えたサプライチェーンへの影響
サプライチェーンのリスクの具体例として、今もなお猛威を振るっている新型コロナウイルスによる影響が挙げられます。
コロナショックにおいては人を介して感染拡大することを抑制するため渡航制限や外出制限等といった強力な措置がとられることで、生産活動や物流の停滞が生じたという点が特徴として挙げられます。こうしたなかで、港湾に関わる従業員や物流を担うトラック運転手などの不足が国際的な物流に遅延などをもたらしました。
また、世界中で連鎖的に感染が拡大したことにより、グローバルに経済的な影響が生じる点もコロナショックの特徴として挙げられます。国内企業や海外展開する企業などが直接的に、またグローバルに広がるサプライチェーンを伝って間接的に影響を受ける様が見受けられました。そうした中で、グローバルに展開される調達・販売網や生産拠点に対する見直しをする企業もありました。

＜さいごに＞
今回サプライチェーンについて解説しました。私たちの身の回りには様々な種類のサプライチェーンがあり、それは業界や製品、さらには時代や技術水準によっても異なります。
これまでの大量生産・大量消費型の経済からシェアリングエコノミーなどの新しい社会の在り方が提案される中、消費者の購買行動の変化を背景にサプライチェーンにおいても柔軟な変化が求められています。
このように、サプライチェーンは私たちの暮らしを支える重要な概念であり、サプライチェーンの進化は私たちの暮らしをより豊かにするものといえるでしょう。

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