2021.01.25
「働き方改革」徹底解説!〜基本事項から導入事例までをご紹介!〜
【はじめに】
皆さんは「働き方改革」と聞いて、どのような取り組みを思い浮かべますか。
近年、厚生労働省が呼びかける「働き方改革」の概念により、自分の働き方を考え直す方が増えています。
また、就職や転職を検討されている方も、自分のライフステージやライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことで、今後の生活が大きく変わるかもしれません。
今回は「働き方改革」の定義や課題、そして求職者が意識するべき点などをご紹介します。
まだ働き方改革についてわからない部分が多い方は是非参考にしてみてください。
【そもそも働き方改革とは?】
そもそも「働き方改革」とは、個々のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を自分で選択できるようにするためのものです。
例えば…
・小さいお子さんがいる従業員が自宅からリモートで作業をすることで、子育てと仕事の両立を実現する
・従業員が移動時間や就業場所の拘束から解放され、効率的に業務に取り組む
・親の介護が必要な従業員が、時短勤務で仕事と介護を両立する
などなど、働き方改革を実現すれば、個々の生活事情に合わせた業務の効率化を目的として、自分にあったワークスタイルを見つけることができます。
日本では2018年から「働き方改革関連法」と通称される法律が始まったことをきっかけに、民間での働き方改革が推進されるようになりました。
法律では労働基準法や雇用対策法の改正などがメインであるため、実際に企業の働き方改革に直接手を出せるわけではありませんが、民間企業への認知拡大が進んでいることは間違いありません。
そもそも、「働き方改革」への取り組みの背景には主に3つの理由があるとされています。
●少子高齢化に伴う労働人口(生産年齢人口)の減少
●労働生産性の低下
●出生率の低下
日本では深刻な少子高齢化問題が発生しています。
財務省のデータによれば、2025年までに現役世代(20歳〜64歳)の1.8人が1人の年金受給者(65歳以上)を支える構造になるとされており、生産年齢人口の少なさが大きな課題です。
ここで現役世代の持続的な労働が困難になれば、労働生産性は大きく低下し、社会構造に影響を及ぼしかねません。働き方改革の推進はこうした状況の悪化を防ぐためでもあるのです。
また、それに伴い出生率の低下も大きな課題とされています。この課題の背景には、経済的・時間的に十分な子育ての環境が整っていないことがあります。
しかし働き方改革の推進が進めば、自身の生活スタイルにあった労働ができるようになるので、子育ての環境の不足は解消に向かうとされています。
こうした日本が抱える様々な課題に対する解決策の一つとして、働き方改革は進められています。
▼参考資料
【ワークライフバランス】仕事と私生活のバランスを取るためには?
https://job-koken.jp/column/worklifebalance/
【働き方改革にはどのような取り組みがあるの?】
では、具体的に働き方改革の推進に向けて、どのような方法があるのでしょうか。
実現するための方法をいくつかピックアップしました。
①短時間勤務制度
→育児や介護などと仕事の両立が強いられる社員を対象に、勤務時間を通常よりも短縮する制度。
Ex.)男女に関わらず、育児で家庭に戻らなくてはいけない社員が、通常10時〜18時の就業時間を10時〜16時に切り替える。
②フレックスタイム制度
→特定の期間内で始業・終業の時間を調整できる制度。(時短勤務制度とは異なり、就業時間を減らすことはできません。)
Ex.)3ヶ月の期間内で必要な勤務時間を満たしつつ、家庭の事情に合わせて終業時間を早めたりするなど、勤務時間の調整をする。
※ただし3ヶ月間で決められた分の就業時間は確保しなくてはいけません。
③テレワーク
→オフィスに出社をせず、訪問先や自宅などでの作業を推進する制度。
Ex.)ビデオ会議やクラウド型のツールなどでコミュニケーションを取り、移動時間や場所の拘束などを省いて効率的に業務を行う。
上記以外にも、働き方改革は様々な手法がありますが、こうした取り組みはすでにオーソドックスなものになっています。
特にテレワークに関しては、新型コロナウイルスの影響もあり、様々な企業が導入を進めています。
生産性の観点から、新型コロナウイルスの収束後もオンラインでの就業は定着することが予想されますし、今後はより働き方の効率化に目を向けられるでしょう。
一方で、企業の業態や従業員の職種によって導入できる制度は異なる点はあります。
例えば、個人のお客様のインバウンド対応を行うカスタマーセンターなどは、受付時間内は就業しなくてはいけませんし、自宅に機材を揃えることが難しい職種は必然的に出社を余儀なくされてしまいます。
一概に導入していない企業が悪いというわけでは無いので、「その企業の状態に応じた取り組みが実施されているのか」という観点から注目をすると良いでしょう。
【企業の導入事例】
では、企業ではどのように導入されているのでしょうか。
実際に導入している企業の事例をいくつかご紹介いたします。
⑴株式会社ZOZO
・フレックスタイム制度
株式会社ZOZOでは、全部署共通でフレックスタイム精度が導入されています。コアタイムを部署ごとに決定することで職種に応じた働き方が可能になっています。
・家族時短
時短は30分単位から利用できる時短制度で、自事とプライベートをバランスよく充実させるため、育児や介護はもちろん、ペットや同居人などスタッフが「家族」と認識する人や動物のサポートが必要な場合は、1日最大2時間の時短利用が可能になっています。
⑵カルビー株式会社
・フリーアドレス制度
株式会社カルビーの本社オフィスでは従業員が自分の固定席を持たない「フリーアドレス」を採用しています。
・モバイルワーク制度(≒テレワーク制度)
同社ではモバイルワーク制度を採用しています。これは場所を問わずに就業することができる制度で、通勤時間の削減や家庭と仕事の両立を図ることができる設計になっています。
⑶株式会社井口工務店
・長時間労働の是正
株式会社井口工務店では、「ノー残業デー」を設定し、勤務時間の縮減を推奨することや、時間外労働を削減するため上司による事前承認を徹底しています。
・ダイバーシティの推進
若者が働きやすい環境づくりを目指し、キャリアアップに関する研修等の人材育成制度を設けています。
【さいごに(仕事探しのポイント)】
このように、企業の業種や部署によって制度は異なり、それぞれにあった取り組みが積極的に進められています。
これからは、自身の生活環境に合わせて働くことができる企業選びを行う必要があります。
就職や転職を考えられている方は、「どれくらい働き方改革の制度推進に取り組んでいるのか」を企業選びの参考材料にしてみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルスの影響もあり、働き方の見直しが多く行われる昨今ですので、政府だけでなく民間企業の取り組みがどのように進むのか、今後も注目です。