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【ADRとは?】基本的な知識から判例までを徹底解説!

【はじめに】
最近、「ADR」という言葉をよく耳にしませんか?
働き方改革の一環で、2020年4月に同一労働同一賃金が施行されました。その中には、「裁判外紛争解決手続き(行政ADR)」の規定整備も含まれ、裁判ではない労使間の紛争を解決する窓口が拡充されることになりました。
今回は、なんとなく難しそうに聞こえる「ADR」について、「労働問題」にスポットを当ててわかりやすく解説していきます。

【そもそもADRとは】
行政ADRについて考える前に、そもそもADRとは何なのかについて確認しましょう。ADRとは、「Alternative(代替)」「Dispute(紛争)」「Resolution(解決)」の略語で、日本では「裁判外紛争解決手続き」と呼ばれています。法的なトラブルや民事上の紛争などに、専門的な知識を持つ第三者が入って問題の解決を図ります。解決手段の例として、仲裁や調停、あっせんなどがあり、労使間の紛争、不動産トラブル、病院と患者間のトラブルなどがあり、ADRは幅広い問題解決に利用されています。

【近年、行政ADRが注目されるワケ】
近年、行政ADRが注目されるようになった理由は、先にも述べた同一労働同一賃金の施行です。同一労働同一賃金は、2018年6月に成立した「働き方改革関連法」のうち「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」が根拠規定となっており、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の不合理な格差是正が目的です。今般の法改正により、事業者に対し、行政による助言・指導や行政ADRの規定が設けられました。行政ADRの根拠規定が整備されたことにより、都道府県労働局にて無料・非公開の裁判外紛争解決手続きを行えるようになりました。同一労働を行う正規雇用労働者・非正規雇用労働者間で不合理な待遇差を禁じる「均衡待遇」や、今回法律で義務化された「待遇差の内容・理由に関する説明」についても行政ADRの対象となるため、行政機関を利用してトラブル解決を図る選択肢が広がります。雇止めや賃下げなどの不合理な待遇の問題から、職場でのいじめなど、労働に関するトラブルについて気軽に相談することができます。

【ADRと裁判の違い】

ADRは、あっせん・調停・仲介手続きの際に相手の同意が必要となりますが、裁判を起こす場合は同意の必要はありません。また、ADRは非公開なのに対し、裁判は公開で行われる点も大きな違いです。

裁判の判決には強制力があり、当事者がこれを拒否することはできませんが、控訴・上告が可能です。一方ADRの場合、調停・仲裁手続きでは解決案が提示されても強制力はありませんが、仲裁手続きで提示された解決案には強制力があり、これを拒否したり、不服申し立てすることはできません。仲裁合意を行うと、その紛争に関しては裁判で争うことができなくなります。

【ADRのメリット】
ADRは裁判と比べ、手続きが簡単で迅速です。時間や費用を抑えてトラブル解決を図ることができます。また先にも述べたように、ADRは非公開で行われるため、関係者以外にトラブル内容などを知られる心配がありません。

【主なADR機関】
労働問題における行政ADR行う機関としては、中央労働委員会や都道府県労働委員会、都道府県労働局、国民生活センターの紛争解決委員会などがあります。また、弁護士会や消費者団体、業界団体などが運営する民間のADR機関もあります。

【ADRの流れ~都道府県労働局の3つの紛争解決制度~】
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html(参照:厚生労働省ホームページ)

⑴総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談
都道府県労働局では総合労働相談コーナーにおいて、労働問題に関する情報提供・個別相談のワンストップサービスを行っており、関連する法令・裁判例などの情報提供、助言・指導制度及びあっせん制度についての説明を行います。また、必要に応じて、下記の他機関と連携も行っています。

⑵都道府県労働局長による助言・指導
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)又は最寄りの総合労働相談コーナーに助言・指導の申出を行います。その後、助言・指導制度についての説明を行います。助言・指導の申出を行った場合、都道府県労働局長による助言・指導が実施され、解決した場合は終了となります。解決されなかった場合は希望に応じてあっせんへの移行又は他の紛争解決機関の説明・紹介を行います。

⑶紛争調整委員会によるあっせん
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)又は最寄りの総合労働相談コーナーに、あっせん申請書を提出します。 提出後、都道府県労働局長が紛争調整委員会へあっせんを委任します。あっせん開始通知、あっせん参加・不参加の意思確認を行います。参加の場合、あっせん期日(あっせんが行われる日)の決定、あっせんを行います。

【行政ADRの事例~新潟労働局での事例~】以下、新潟労働局ホームページ引用
申請の概要
申請人(労働者)は設計業を営む株式会社の課長職として、同業他社から転職し、一年半に渡り設計担当課長として勤務してきたが、被申請人(会社)から突然「社風に合わない。業務能力が著しく劣る。」という理由で解雇の予告がなされた。申請人はこの解雇を不服として補償金の支払いを求め、あっせんの申請を行った。

あっせんの内容
申請人及び被申請人に個別面談の上、あっせん委員が紛争の経過について尋ねたところ、紛争の発端となった解雇にかかる経過については紛争当事者双方ともあっせん申請書に記載されている内容に大きな争いはなかった。その上で、紛争当事者双方の主張内容を踏まえ、あっせん委員は被申請人に対して、申請人の請求内容について受け入れ可能な内容を打診したところ、「賃金補償としてではなく、退職金として△ヶ月間の賃金相当額の支払いをすることは可能」と申し立てた。これを受け、申請人は、「紛争のこれ以上の長期化は望まない。被申請人の譲歩を受けて和解したい」と申し立てた。

結果
あっせんの結果、被申請人は申請人に対して、退職金として△ヶ月分の賃金相当額を支払い、一方、申請人は補償金の支払いについてこれ以上請求しない旨を譲歩することで紛争当事者が合意するに至り、紛争当事者双方で合意文書を取り交わした。

【さいごに】
近年では働き方改革が進み、職場でのハラスメント防止などの取り組みも進んできています。しかし、不当な雇止めやいじめ、待遇格差など、深刻な労働問題はたくさん存在します。労働局などに気軽に相談でき、裁判よりも簡易的に解決を図れる行政ADRの利用検討をしてみてはいかがでしょうか。

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