2020.05.20
仕事でうつになる人の特徴は?セルフチェックポイントや相談先について
毎年、数多くの人が仕事でうつ病(鬱病)を発症しています。うつ病になる原因はいまだにはっきりと解明されてはいませんが、精神的・肉体的ストレスが脳内に悪影響を及ぼすことで発症するケースが多いです。
またうつになりやすい人には特徴があると言われています。この記事ではうつ病の主な症状やうつを防ぐために注意しておきたいセルフチェックポイント、うつになりやすい人の傾向について解説。
仕事がつらい、辞めたいと感じた場合の相談先も紹介します。
うつ病(鬱病)を発症する原因や症状とは?
仕事でうつ病(鬱病)を発症する方は多いです。
2018年に仕事上のストレスから鬱病を始めとする心の病に罹患して労災請求をした人は1820人にのぼり、6年連続で過去最多記録を更新しました。
参考:厚生労働省『平成30年度「過労死等の労災補償状況」を公表します』
ここではうつ病を発症してしまう原因や症状を見て行きましょう。
うつ病になる原因について
うつ病になる仕組みははっきり解明されていませんが、精神的・肉体的ストレスが脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きを悪化させることで発症するケースが多いとされています。
もともとの考え方の癖や遺伝との関連性も指摘されていますが、特定の理由によって発症するわけでなく、複数の要因が絡まり合うことで引き起こされるとの見方が強いです。
うつ病に繋がるとされる精神的・肉体的ストレスとしては下記のようなものが挙げられます。
【主な精神的ストレス】
・幼少時代のトラウマ
・人間関係のトラブル
・身近な人の死
・就職、退職、転職、転勤(引っ越し)
・結婚、離婚、妊娠、出産
・家庭内の不和
・経済的不安
【主な肉体的ストレス】
・慢性疲労
・睡眠、休息不足
・運動不足
・ホルモンバランスの変化
・感染症や癌
・甲状腺の異常
・脳血管障害
・降圧薬、経口避妊薬の服用
うつ病の主な症状
精神的・肉体的ストレスが続くと、気分が落ち込んでやる気が出なくなるなどの精神的症状のほか、体がだるくて疲れやすく眠れないなどの身体的症状があらわれます。こうしたサインを見逃して働き続けると、うつ病を発症することに繋がりかねません。
うつ病を発症すると食欲・睡眠欲・性欲の低下がみられ、不安感や苛立ちに苛まれたり、体の痛みやしびれに襲われたりと様々な症状があらわれます。
「何をしていても楽しくない」「良いことが起きても憂鬱な気分のまま」という状態が2週間以上継続する場合、うつ病になっているかもしれません。うつ病は気の持ちようで治るものではありませんので、こうした症状に気づいたらすぐに専門医にかかりましょう。
うつを防ぐために気をつけたいセルフチェックのポイント
うつ病を防ぐためには、自らが発している不調のサインに気づく必要があります。ここでは仕事をしている上であらわれやすいうつ症状のセルフチェックポイントを挙げますので、当てはまる項目が多い方は注意してください。
- 集中力・記憶力が下がりケアレスミスが増えた
- 仕事が思うように進まなくなった
- 周囲とのコミュニケーションが億劫になった
- 受け答えが難しくなり沈黙する場面が多い
- イライラしやすくトラブルが増えた
- 出勤がつらく遅刻や欠勤が増えた
- 無駄なトイレ休憩など離席の頻度が上がった
- デスクが散らかりはじめた
- 日中も強い眠気に襲われる
- 何かと自責の念に駆られる
仕事でうつになりやすい人の特徴について
どんな病気にもなりやすい人とそうでない人がおり、これはうつ病にも言えることです。うつ病になりやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか。
1.真面目で責任感が強い
うつ病になりやすい人の特徴としてまず挙げられるのは、真面目で責任感が強いという点が挙げられます。
こうした性格の持ち主は優秀な方が多く、仕事の処理スピードが早いため周囲からたくさんの仕事を任せられます。頼まれると断れないため、はじめのうちは一生懸命に取り組みますが、量が増えすぎると手が回りきらずに質が落ちてしまい、思うような成果をあげられず理想と現実のギャップに苦しむことになるのです。
やりがいよりもプレッシャーが勝る状態が長引けば心身のバランスを壊しやすくなります。うつ状態に陥らないためには、時には誰かを頼る勇気を持つことが大切です。
2.完璧主義である
完璧主義の人もうつ病になりやすいです。完璧を目指すことは決して悪いことではありませんが、物事への考え方や捉え方が歪んでいると、自らを追い詰めることになります。
たとえば「目標の売上が達成できないから、自分はだめな人間だ」などという極端な思考は「0か100か思考」「オール・オア・ナッシング」と呼ばれ、うつ病になりやすい人の傾向のひとつとされています。
他にも、「物事のいい面を見ずに悪い面ばかり見る」「結論を急ぐ」「〜すべきという決めつけが強い」「自己責任感が強い」などの特徴に当てはまる人は思考が歪んでいる可能性が高いです。
行き過ぎた完璧主義の場合、成功に囚われすぎるあまりチャレンジすることや何か行動を起こすことを嫌います。柔軟な発想やアイデアに乏しく、些細なミスが起きただけで「こんなことを続けても意味がない」と仕事に対する意欲や熱意を失いがちです。
ストレスなく働き続けるためには「人間なのだから失敗するのは当たり前」「結果だけが全てではない」と、楽観的な思考に切り替える必要があると言えるでしょう。
うつになりそうなとき、仕事を辞めたいときは誰に相談する?
精神的・肉体的ストレスの高まりを自覚しているほか、前述のセルフチェックポイントに当てはまる項目が多いという方はうつ病を発症する可能性があります。この場合、自らの生活習慣や就業態度を見直すことはもちろん、適切な相談先を見つけることも重要です。
うつ状態に陥ると思考力が低下するため、自身が考えている以上に判断力が鈍っている場合があります。仕事を辞めたいと考えている場合、いきなり退職を申し出るのではなくまずは上司や社内の窓口へ相談しましょう。仕事量が多すぎる、人間関係に悩んでいるなどの悩みは、打ち明けてみることで思いもよらない解決方法が提示されるかもしれません。
精神的・肉体的なストレスが強く、出社が困難な場合は休職することを選択肢に入れて相談するのも良いでしょう。
上司など、直接仕事上で関わる人への相談がはばかられる場合は、産業医に面談を申し込むこともおすすめです。産業医は常時50名以上の労働者を有する事業所で1名以上、3,000人を超える事業所では2名以上が選任されています。相談は無料なので、メンタルヘルスに悩んだら気軽に問い合わせてみてください。
こうした相談を社内の人間に行うことが難しい場合は、社外の相談窓口を頼りましょう。匿名による電話相談やメール相談に対応する窓口もあるため、悩みを抱えていることを誰にも知られたくない方には特におすすめします。
上記のような対応を行う中で症状の悪化を感じた場合は、必ず医療機関での診察を受けましょう。
まとめ
うつ病と聞くと特殊な病気のように感じる方は多いかもしれません。しかし仕事でうつ病を発症する方は多く、労災請求する人は年々増加しています。症状を自覚している場合は医療機関での診察を受けてください。
はっきりうつ病だとは感じていないものの、「何事にも意欲がわかず、幸せを感じにくくなった」との自覚があり、この状態がしばらく続くようであれば罹患を疑うべきです。上記で紹介したセルフチェックのポイントと照らし合わせ、思い当たる節がある場合は上司や会社の窓口、産業医に相談しましょう。